産業観光ガイド“ひたりずむの会“例会 「江戸時代の日田を知る」

3月25日、産業観光ガイド“ひたりずむの会“例会で「近世の日田について」学びました。

”ひたりずむの会“は、旅行団体が工場見学に訪れた際に、施設から施設への移動の車中で日田市の案内・紹介をしており、歴史についても知っておく必要があることから、今回の例会のテーマとしたものです。

講師は、市文化財保護課 吉田博嗣課長で、日田が題材となったブラタモリで見事な解説をした方です。

 冒頭「皆さんの江戸時代の印象は、いつも侍同士の斬り合いと思っているでしょうが、江戸時代は265年間の平和な時代でしたから、皆さんの印象はテレビ番組からの先入観です。」の一喝に、会員一同苦笑い。

 

  • 全国4つの代官所のひとつ 日田代官所

江戸時代の日田は、幕府直轄地で西国郡代(西国筋郡代)の日田代官所が置かれ、関東郡代、美濃郡代、飛騨郡代と合わせ、各藩の見張り役として、その支配力は絶大でした。

 日田代官所には、江戸詰や出張所も含め35人くらいの役人が勤め、九州内の幕府領(最盛期は16万石余)の治安維持、年貢徴収などの職務にあたっていました。

  • 幕府の要職を歴任した 川路聖謨(1801~1868)

 日田代官所の役人 内藤吉兵衛の子に、後に幕府勘定奉行となる「川路聖謨(かわじとしあきら)」がいます。川路は、NHK大河ドラマ「青天を衝け」にも登場し(俳優の平田満さんが演じる)、激動の幕末で活躍し、安政元年(1854年)には日露和親条約を結び、最期は慶応4年(1868年)、新政府軍による江戸城総攻撃の予定日であった3月15日にピストル自殺を図り、その生涯を閉じました。

 

  • 金融貸付業 掛屋

 幕府の公金を取り扱う商人「掛屋(かけや)」は、豆田町、隈町に7軒あり、その資金を基に九州の大名などに貸付ける「日田金(ひたがね)」で大きな利潤を得て、日田は九州の金融経済の中心地でした。また商人たちは、その財力で日田の道路や水路整備などの大規模な公共事業を行いました。

 

このほかにも日田代官は代々、杉の植林・造林を奨励したり、通船や筏による下流地域への水運にも関わるなど、日田林業の振興や地域経済の発展を図ってきました。産業観光の資源である林業、木材産業、醸造業などは、この歴史抜きでは語れないことを会員一同再確認する機会となりました。