日田市北部の大鶴地区にある産業観光受入施設の井上酒造では、酒蔵近くの水田で酒米「雄町(おまち)」を自家栽培しています。
6月23日、晴れ。市内外から田植えに参加した日本酒愛好者は21人。
井上百合社長が「今日は絶好の田植え日和です。今日の「雄町」の田植えから酒造りが始まります。」の歓迎のことば。
多くの参加者がこの日を待ちわびていた様子で、真新しい田植え靴に自慢の田植えファッションのいで立ちで、水がはられぬかるむ水田に足を取られながらも、10センチメートルほどの「雄町」の苗を一株、一株、丁寧に植えていました。
この小さな「雄町」の苗は、秋には160センチメートルを超える黄金色の稲穂となり、10月中旬には稲刈りで酒米として収穫され、その後、年明けの2月から樽に仕込まれ発酵を繰り返し、4月には新酒となり私たちの喉を潤してくれます。
井上酒造は、創業1804年。2百年の間、地元の水、酒米を使い酒造りを脈々と営んできました。ある参加者は、「美味しいお酒のためには、田植えで腰が痛いなんて言ってられません。秋の稲刈りが楽しみです。」と、気の早い談。
田植えに参加して、微力ながら酒造りの一コマに参加できる喜びと、秋の稲刈り、そして新酒の出来栄えを想像すると、田植えの疲れはどこへやら。